はじめに
令和8年4月1日より、企業グループ間の取引に関する書類保存について新たな特例が創設されます。罰則が重いので、グループ内取引を行っている内国法人の経理・税務担当者は、早めに対応を確認することをお勧めします。
これまで特に議論は無かったと思いますが、にわかに改正項目に入ってまいりまして、私も驚いております。
ただし、本制度に関してはおそらく法人税法施行令の移転価格税制の近傍に規定されるものと思われますが、令和8年4月15日時点でのe-govの法令検索には載っておりませんでした。おそらく官報へは記載があるのだと思います。
この記事では、対象法人や適用開始時期は一般的な通説を載せておりますが、この辺りの根拠は弱いです。キャッチアップがありましたら、改めて記載します。
特例の概要
内国法人が関連者との間で特定取引を行った場合、その取引に関する書類(取引関連書類等)に、対価の額を算定するために必要な事項の記載・記録がないときは、その不足している事項を明らかにする書類(電磁的記録を含む)を取得・作成し、保存しなければならないこととされました。
ポイント解説
① 「関連者」とは?
移転価格税制における関連者と同様の基準で判定されます。グループ親会社・子会社・兄弟会社などが該当します。
② 「特定取引」とは?
以下の取引が対象となります。今回は取引が限定されました。
- 関連者から内国法人への工業所有権等の譲渡または貸付け
- 関連者が内国法人に対して行う研究開発、広告宣伝、資産の貸付・維持・管理、経営管
- 理指導、情報の提供等
③ 「取引関連書類等」とは?
取引に際して受領・交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書、またはこれらに準ずる書類・電磁的記録で、法人税法等の規定により保存が義務付けられているものです。
注意!保存義務を怠ると青色申告が取り消される可能性も
この特例で求められる書類の保存が法令の定めに従って行われていない場合、青色申告の承認取消事由となります。青色申告のメリット(欠損金の繰越控除、設備投資や少額資産の即時償却、優遇制度など)を失うリスクがあるため、対応は必須です。
適用時期
令和8年(2026年)4月1日より適用されます。
まとめ・実務対応のポイント
- グループ内で特定取引を行っている場合、現在の書類管理体制を見直す
- 対価の算定根拠が書類から読み取れるか確認する
- 不足がある場合は補足書類を整備しておく
- 電磁的記録(PDFや電子契約データなど)での保存も有効
グループ間取引の多い企業ほど影響が大きい改正です。社内の書類保存ルールを整備しておくことをお勧めします。
記 中山


