令和6年1月 相続時精算課税制度と暦年贈与関連の改正)|埼玉県川口市の税理士・会計事務所

COLUMN

2024.01.24

税務検討

令和6年1月 相続時精算課税制度と暦年贈与関連の改正

 

令和6年1月より、相続時精算課税制度と暦年贈与に関する税務(租税特別措置法70条2の4-8)が改正されました。これまでは、限定的な場合(税務的な合理性ではなく、生前に譲りたい財産の法的関係を確定させる等)を除いて相続時精算課税にメリットはなく、ほとんどが暦年課税が選択されておりました(令和4年分の贈与税申告の内91%が暦年課税-国税庁調べ)。
しかし、これまで通りの運用ですと大きな増税になる場合が多く、逆に適切に進めれば減税になりますので、しっかりとした対応が望まれます。

それぞれの大きな改正ポイントは次の通りです。
■相続税
・相続前の贈与について、相続財産への加算期間を3年から7年へ延長
■租税特別措置法
・相続時精算課税を選択した場合、年間110万円の基礎控除(非課税)が認められ、
 累積贈与額2,500万円までは相続時まで贈与税が非課税となる(要申告)

では、どちらが得になるかですが、財産の総体・また平均寿命等から推定される余命、生前贈与したい(できる)金額等の種々の要素で変わってきます。

例えば、4,000万円を1年400万円ずつ10年で贈与した場合、相続税・贈与税の納税額は以下の通りです。※相続税率30%としています。
旧相続時精算課税:1,200万円
新相続時精算課税:870万円
旧暦年課税   :594.5万円
新暦年課税   :910.5万円
上記のケースですと、以前であれば圧倒的に暦年課税が得でしたが、新制度では相続時精算課税を選択すべきであるという結論になります。

しかし、例えば上記のケースから10年→13年、5,200万円の贈与になりますと、税額合計は、以下になります。
新相続時精算課税:1,131万円
新暦年課税:1,011万円
上記の通り結論が逆になります。

また、例えば親Aから相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた子Bが先に亡くなり、孫Cが相続をした場合には、CはBからの相続に関して一旦相続税を負担し、その後Aが亡くなった場合にはCは当該相続時精算課税を適用した財産について改めて相続税を負担します。
二重課税のように感じますが、10年以内であれば相次相続控除の対象として更正の請求が可能であると思われます(相続税法20条)。

以上の通り今回の改正で、暦年贈与・相続時精算課税まわりの税務は複雑となり、個別具体的な計画をもとにした対応が必要になります。

方向性としては、毎年の贈与額が110万円以内ですむ方や余命宣告を受けているなどで贈与可能な期間が7年以内と予想される場合には、相続時精算課税制度を選択すべきです。
逆に、多額の財産を持つ方や平均寿命まで相当の年数があり長期間の贈与が可能な場合には、暦年贈与で基礎控除を超えた贈与をした方が税額が下がります。

私の感覚では、資産1億円~2億円程度までの方は相続時精算課税制度、それ以上の資産をお持ちで平均寿命前の方は暦年課税をそれぞれ基準とし、そこから特殊事情を織り込んで検討する方向で良いのではないでしょうか。

文責:税理士 中山

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