相続した居住用財産の売却に注意)|埼玉県川口市の税理士・会計事務所

COLUMN

2024.03.08

税務検討

相続した居住用財産の売却に注意

 

当事務所では、確定申告に向けての作業が目下進んでおります。残り一週間となり、それなりに緊張感が出てきました。

今年の確定申告業務を進めていく中で、「事前に対策していれば税額が相当下がった」事例がありましたので共有したいと思います。当事務所では、今年お電話等で問い合わせいただき、受任に至った2名について発生した事案です。

不動産の譲渡所得に係る申告で、いわゆる空き家特例といわれるものです。
正式には、「被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除の特例(措置法35条3項)」です。

①空き家特例の趣旨

これは、相続した建物がそのままの形で残されてしまうことが多く、不動産の流動化、街並み保護、治安維持などを趣旨として平成28年以降施行されている規定です。

②空き家特例の内容

具体的には、相続で取得した被相続人の居住用建物・土地を、相続発生から3年経過日の年内で売却した場合に、一定の要件のもと譲渡所得から3,000万円を控除できるとするものです。
なお、この規定を適用させた場合、相続税の取得費加算(措置法39条)は適用できません(措置法35条3項)

③空き家特例の要件

具体的な要件は、次の通りです。
①その居住用建物が昭和56年5月31日以前に建築されていること
②マンション(区分所有)ではないこと
③相続開始の直前において、被相続人以外に住んでいた人がいないこと
④土地に関しては、①~③を満たす建物が建つ土地であること
⑤売却した人が、①~③の建物と④の土地を両方相続又は遺贈で取得したこと
⑥耐震リフォーム後又は更地にした後に売却したこと
⑦譲渡価格が1億円を超えないこと
⑧売却先が同族の関係者ではないこと

④空き家特例の留意点

利用できるケースは限定的かもしれませんが、適用した場合の減税額が大きいため必ず検討したい特例ですし、なるべく適用できるように売却等を進めたいところです。
例えば、3,000万円控除ができた場合には、長期一般税率であれば約610万円が減税となります。

今回の確定申告で事前の準備で適用ができたことが確認された事例は、上記要件の⑥を満たさない場合です。
すなわち当該居住用物件の売却前に建物を取り壊してから売却をした場合には3,000万円控除が可能だったにもかかわらず、建物含めて売却しているため特例の適用ができない方がいらっしゃいました。

昭和56年以前の建物であれば、売却後買主が取り壊すことが多いと思われますので、この場合には取り壊しを売主で実施し、その取り壊し費用分を売却代金に乗せてもらう対応があればよいと思われます。

ほんの少しの段取りで数百万円の納税額が変わってしまいますから、くれぐれも注意をしたいところです。

記:中山

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