収益計上にかかる進行基準の採用)|埼玉県川口市の税理士・会計事務所

COLUMN

2024.05.15

税務検討

収益計上にかかる進行基準の採用

※経理部門向けのお話です。

工事進行基準といいますと、建設業に関してだけの話に聞こえますが、実は製造業やIT関連事業などのいわゆる請負契約に基づいて仕事をされる事業に関してはすべて適用があります。このブログでは、大変わかりづらい進行基準の適用関係をなるべくわかりやすく書いてみたいと思います。
※企業会計基準が工事・造船・機械製造等を対象とし、ソフトウェアの請負に係る会計基準である「研究開発費等に係る会計基準」も企業会計基準を準用するため、法人税法もそれに倣っています。

工事進行基準(以下、進行基準)の反対の概念で工事完成基準(以下、完成基準)があるのですが、進行基準は仕事が進捗した割合を計算して完成基準に比較して前倒しで収益計上をするもので、完成基準は進捗は関係なく最後に完成した時点で全部の収益を一括して計上するものです。

従前は、請負契約において進行基準・完成基準のいずれでも採用できたのですが、平成30年の税制改正によって一定の場合には進行基準が強制されるが、それに該当しないときは原則として進行基準・完成基準いずれでも採用可能となりました。

①適用関係(よくある勘違い)


1.

1年以上継続(2期にわたって仕掛になる)し、請負金額が10億円以上かつ請負金額の5割超を引き渡しの日から1年以内までに受領する案件については、進行基準が強制されます(法人税法64条1項同施行令129条)
 しばしば、工事進行基準は企業会計基準を適用させている大法人のみに関係するという勘違いをされるケースが多いようですが、中小法人についても案件によっては適用させる必要があります。


2.

建設業だけではなく、製造業、造船業、IT関連事業も適用すべき主体になります(法64条1項)。


3.

仮に完成基準で収益認識可能な案件でも、当初の決算で進行基準を適用した場合には、事後の決算でも進行基準の適用が強制されます(令129条5項)。

②本来的な進行基準の計算方法


工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を損益計算書に計上します。工事進捗度は、現場の現況ではなく、総原価に対して使用された原価の割合で求めるのが一般的ですが、絶対的な解はなく、合理的な見積りであればOKです。
工事が進むとともに、工事収益総額と工事原価総額は増えたり減ったりすると思いますので、その決算期のそれに対して事業年度ごとに工事原価と工事収益を前年分を控除して計上します。

③長期契約で収益の確定ができないときの計算方法


工事収益が不確定なときは、工事原価=工事収益とみなして計算します。したがって、進捗度にかかわらず原価=収益となり、法人税の所得に対しては影響しません。(令129条第4項・第8項)
※但し、工事収益を未収金として計上している場合には、当該未収金は貸倒引当金の対象債権となりますので、簡便法であれば当該債権に対する引当金繰り入れが可能となり法人所得の減となります。

④消費税


消費税に関してもは、原則として完成・引き渡し時の資産譲渡となりますが、進行に合わせて完成・引き渡しがあったものとみなして納税することも可能です(消費税法17条、16条)。
消費税率の上昇が分かっているのであれば、先払いする方が有利と言えます。

以上、工事進行基準に関する考察でした。なるべく分かりやすく記載したかったのですが、ややこしい論点のため分かりづらいかもしれません。引き続き精進してまいります。

記 中山

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