1.譲渡所得税の計算方法
例年、確定申告時期になりますと不動産を譲渡したことによる所得税の計算をご依頼いただきます。
まず、譲渡所得税の計算方法は、以下の通りです(所得税法33条)。
収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
※収入金額(売却金額等)
※取得費(土地・建物を購入した金額~建物は償却後~)
※譲渡費用(宅建業者への支払等)
※特別控除(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除等)
税額は、上記の課税譲渡所得金額に5年以内の所有の場合は39.63%を、5年以上の所有の場合には、20.315%を乗じて求めます(所得税、復興所得税、住民税の合計)。
2.譲渡所得税計算でしばしば発生する論点
ここで、論点になりやすいNO1は、取得費の計算です。
通常は、いくらで取得したかが売買契約書や請負契約書から求められるのですが、まれに売買契約書をなくしてしまったケースや、相続で取得したため書類のありかが不明になっているなどのケースがあります。
取得費が不明な場合には、種々の計算方法が考えられるのですが、大まかな考え方としては次の通りです。
①当該不動産を昭和28年より前から所有している場合には、収入金額の5%を取得費とする(租税特別措置法31条の4)
②当該不動産を昭和28年より後に所有している場合には、合理的な計算により求める(租税特別措置法31条の4反対解釈)
3.取得費が不明な時はどうしたらよいか
ここで困るのが昭和28年より後に取得した不動産の取得費の計算方法です。
通常、納税者がこのケースで税務署に相談に行かれると次のような回答になります。
納税者「売却した不動産の申告をするにあたり、購入時の書類がないのですが・・・」
税務署担当者「売却価格の5%を取得費として認めることができます。」
とても正しい回答です。租税特別措置法関係通達31-4-1で、昭和28年以降取得の不動産についても概算取得費の5%を使用した場合の申告を認める旨、国税庁が通達しています。
しかし、場合によっては、とても納税額が高くなる回答にもなります。
例えば、バブル時に購入した1億円の土地を令和6年に9,000万円で売却した場合を考えると、本来、売却価額<取得価額ですから、課税は0になりますが、5%の取得費で計算すると
9,000万円ー(9,000万円×5%)×20.315%=1,736万円の課税が発生します。
このような真実からかけ離れた課税にならないよう、不動産を売却された方はしっかりとした準備をした上での申告が必要です。
明日以降同じタイトルで、以上のケースで採用し得る申告方法を検討したいと思います。
記 中山


